歯の表面についた歯垢はプラークといい、多くの細菌が集まってできたものです。プラーク中のむし歯菌は、糖質を分解して酸をつくります。この酸によって歯の表面のカルシウムが溶け出してできるのがむし歯です。 |
一般的なむし歯は生活習慣に左右される生活習慣病です。むし歯の発症には @宿主 A細菌 B食事 の3つと密接なかかわりがあります。 @宿主 歯の質と唾液が関係します。乳歯や生えたばかりの永久歯は虫歯になりやすいので、歯科医院で行うブラッシング指導やフッ素塗布あるいはシーラントといった治療が大切になります。お口が乾く人は、唾液の自浄作用が少ないため、むし歯になりやすくなります。歯の表面がフッ化物(フッ素)で強化されていたり、唾液が酸を中和する能力が高かったりすれば、むし歯の発症を極力防ぐ事ができます。 A細菌 むし歯菌の代表的なものではミュータンス菌があります。例えば小さいお子様ですと、感染の窓と呼ばれる生後19か月から31か月までの期間に、お口の中の細菌の定着がおこると言われているので、気をつけてほしい時期となります。 B食事 糖質の量だけでなく、飲食回数、時間、そして食物の残りやすさも影響します。例えば学生の場合、部活動でスポーツドリンクを大量に飲むと、むし歯(ボトルカリエス)になりやすいことをお伝えします。ご高齢の方の場合、歯と歯の間に食べ物が残りやすく、歯根にむし歯ができやすくなるといった事が起こるので、各年代に合わせたアドバイスをさせてもらっております。 |
むし歯の病因としてMarshが提唱した生態的学プラーク説や、高橋とNyvadの拡大版:生態学的う蝕病院説があります。 これらの説は、むし歯がミュータンス連鎖球菌(MS菌)などのと特定の細菌感染によっておこるのではなく、お口の常在菌の生態の変化によって起こるとする考え方です。 生態の変化は、バイオフィルム中の細菌が酸性環境下でも生き残れるよう適応して、耐酸性能を有した細菌のみが生き残り、さらに酸を産生してむし歯を進行させます。 むし歯は様々な細菌が関わり合いながら多因子によって起こる疾患と考えられております。 前述しました感染の窓の内容と異なる考え方ですので補足説明させていただきました。 |