ステロイドと歯科治療 |
投稿: |
ステロイドは、腎臓の上にある副腎皮質で作られるホルモンと同じ働きをする薬です。膠原病(関節リウマチなど)や肺炎、気管支喘息やリウマチ、腎臓病、アレルギー疾患の治療薬として用いられます。 【ステロイドの副作用】 ・内服して間もなく注意する症状 高血糖、高血圧、胃腸症状 ・長期内服で注意する症状 感染症、骨粗しょう症 歯科治療において、ステロイド薬を使用している患者様への対応としては、以下のポイントがあります。 ・抜歯後に感染のリスクが高まる ステロイドを長期間使用すると、抜歯後に細菌に感染しやすくなり、傷の治りが悪くなります。そのため、治療の前後には通常よりも長い期間抗生物質を服用したり、歯科医院でこまめに消毒をしたりするなどの対策が必要です。医師と歯科医師が連携して、必要に応じてステロイドの量を増やす(ステロイドカバー)ことで、抜歯や手術を安全に行うこともあります。 ・副腎クリーゼ 副腎クリーゼ(急性副腎不全)とは、副腎の機能が急激に低下する状態です。長期間のステロイドの使用によって副腎皮質ホルモンの分泌が減少し、歯科治療時にストレスがかかると、ホルモン不足によってショックを起こす可能性があります。減量や中止に伴い、治療前にステロイドの増量を検討することもあります ・口腔カンジダ症 免疫機能の低下により発症しやすい口腔カンジダ症もステロイドの副作用の一つです。口内のカビ繁殖を引き起こしやすく、口腔内を清潔に保つため定期的な歯科検診が重要です。 ・ステロイド性骨粗鬆症 ステロイド薬は骨粗鬆症(こつそしょうしょう)を引き起こす原因の一つです。長期間ステロイド薬で治療を受けている人のうち、30〜50%の人が骨折を経験するという研究結果もあります。 ・合併症の確認と対応 糖尿病の方は血糖値の管理が必要で、高血糖の場合は合併症の治療が優先されます。しかしながら歯周病は糖尿病との相互において関連性がありますので、ハイリスク患者様として定期的な歯科受診が求められます。→歯周病と糖尿病について ・自己判断で中止してしまう 急激な中止は体内のステロイド不足を引き起こし、症状の悪化や危険な状況を招く可能性がありますので自己判断でステロイドを中止しないでください ステロイド薬を処方されている場合は、歯科治療を受ける前に主治医と連絡を取り、抗菌薬の予防投与やステロイドの補充療法などを検討することがあります。合併症がある場合、糖尿病の方は血糖値の管理、骨粗しょう症の方は休薬の相談を行うこともありますので、病歴をお聞きした際はわかる範囲で結構ですのでお答えいただければと思います。 |
2024年3月10日(日) |
<< 舌下免疫療法と歯科治療について 2024.3.6 |
はじめのページに戻る |